【読んだ本】庶民の発見 宮本常一 講談社学術文庫 ★★

庶民の発見 (講談社学術文庫)

庶民の発見 (講談社学術文庫)

 

はじめに
1.庶民の願い
2.貧しき人びと
3.変わりゆく村
4.山村に生きる
5.村里の教育
6.民話と伝承者
7.底辺の神々                 
あとがき
解説

内容説明

日本の農山漁村を生きぬいた庶民の生活史。戦前、人々は貧しさを克服するため、あらゆる工夫を試みた。生活の中で若者をどう教育し若者はそれをどう受け継いできたか。庶民の内側からの目覚めを克明に記録
 

内容(「BOOK」データベースより)

日本の農山漁村は昔から貧しかった。そして古い時代からこの貧の問題の根本的な追究が欠けていたのではないか、と著者はいう。本書は、とくに戦中・戦後における嫁の座、私有財産、出稼ぎ、村の民主化、村里の教育、民話の伝承などを通して、その貧しい生活を克服するため、あらゆる工夫を試みながら精いっぱいに生きる庶民の姿を多角的に捉えたものである。庶民の内側からの目覚めを克明に記録した貴重な庶民の生活史といえよう。

 

 

本文のあとがきに
『私が文化人というものにならなければならない理由は何もない。いつまでもどこまでも百姓の仲間の一人として、その代弁者であるべきだと思っている。』 

とあるように
徹頭徹尾庶民の目線から歴史を描くので、庶民たちの行動に権力者がどう対応したかや
庶民の日々の行動の蓄積が歴史にどう影響したかなどの大きい動きは追っていない。
生活習慣を記録するような形で書いている。

一般の貧しい庶民が過去から現在(大正ぐらい)までどのように暮らし、生きてきたのかを
庶民側の視点に立って見ていく本。 

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特に興味深かったのは、江戸時代中期以降も村落での識字率は低くて、
一部の村外と交渉する必要のある人だけが文字教育を受けたという部分。
江戸の識字率はほぼ100%だったみたいなコピペが定期的に回ってくるけど、
それもナショナリズムが高揚した感じの時によく見る
それは一部の都市だけで(都市では江戸中期に寺子屋ブームがあった)
国民全員が字を読めるような状態って明治以降なのねー

教育に関する話だと 

明治になって小学校が義務化した後も
庶民の間では義務教育に対する嫌悪感が強かった。っていう話も面白かった
その反対の理由も

国が勝手に必要な教育として設定してきた国語算数理科社会のせいで
今まで自然にやってきた教育(魚をどうやって取るとかどの辺に魚が多い)とかを教える時間がなくなるから反対していた ということで、

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いつの間にか今の科目の内容が必要な世の中になったのか、

それともみんな疑問にすらもたなくなったのか

僕らが今受けているような教育って本当に必要なものなのだろうか!?と考えさせられるような内容でした。
少なくともこの時代だったら、中学生に「こんな勉強何の役に立つんだよー」って言われて
イマイチすっきりしない答えしかできない状況みたいなものはないよなぁとね