【読んだ本】レーガン いかにして「アメリカの偶像」となったか 村田晃嗣 中公新書 ★★★ 

 

おおまかには前半部でレーガンの伝記と1980年代アメリカの雰囲気、

後半部で冷戦終結にレーガンが果たした影響とレーガンが後の世に与えた影響について書いた本。

全8章のうち、政権担当時のエピソードが6章以降のだけども、
レーガン個人の魅力はなんだったのか、
なぜレーガンは1980年代のアイコンになったのかに焦点を当てている。

 

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ということでレーガンはなんでアメリカの象徴になったのかというところへの感想を書きたいと思うんですけど

まずアメリカの1980年ごろがどんな時代だったのかというと
世界恐慌の解決策としてのフランクリン・ルーズベルトニューディール政策が成功して
どんどんどんどん大きな政府路線が進んで、
その中でケネディ大統領が出てきたり、キング牧師が出てきたりして
リベラル派の理想で突き進んできて

それで保守派としてはずっとリベラルにやられっぱなしでやばいぞ
と感じでいる 時代なんですね

でも保守派には国民を統合するようなストーリーがない・・・どうしよう・・・
リベラル派には反戦運動とか公民権運動とか女性運動などこういう社会を目指すんだって言うストーリーがあった。

このストーリーがない中で、「強いアメリカ」と「小さな政府」で建国のころの理想的な街を取り戻そうというストーリーを提供したのがレーガンなんですね。
そういうストーリーテラーとして保守派の象徴となっているわけなんですけど、


この辺のお話を読んでいるときに、前々からあった疑問が解けまして
アメリカって共和党と民主党、かなりはっきり政策が分かれているじゃないですか

そうすると、経済に関しては共和党だけど、対外強硬はやだから民主党
とか
倫理観に対しては 共和党だけど大きな政府がいい
とか

分裂しちゃうことがあるんじゃないかなぁと感じてたんですよ。
まぁどっちも全く同じような政策を掲げてるともっと困るんですけど

やっぱりそういうことはあるようで 、
宗教的保守派と経済保守派と対外保守派がそれぞれに対立し合って、
結果リベラルに持ってかれちゃうみたいな状況だったそうなんですね。

それを「昔のあのよき世界を取り戻そうよ」というストーリーでつなげ合わせたのがレーガンということで、

なるほどなぁ、そりゃ人によって意見もバラバラだよなぁなんて当たり前なことに驚いたのでした。アメリカ人は過激だから全部どっちかに振れちゃってるのかみたいな印象だった

 

そういうことでこの保守派を統合するストーリーっていうのは繁栄の裏で差別があったり貧困があったりするしゃかいをどうにかこうにか誤魔化して進めてきたんだけど

 

あーあブッシュJr.が壊しちゃった。次の時代はどーなるのよ

というような本で大変勉強になりました。そうやっって共和党といってもみんながみんな同じわけじゃなくて、幅があるんなら

自民党と民主党も保守と革新ですぱっと分かれてくれた方が
どっちになっても変なごっちゃ煮みたいのができる状況はなくなるのかなぁ

なんて考えました。 

まえがき
第1章 マーク・トウェインの世界
第2章 「心の劇場」から「夢の工場」へ
第3章 レーガン都へ行く
第4章 政治教育
第5章 ホワイトハウスへの道
第6章 「小さな政府」 と「強いアメリカ」
第7章 「アメリカの朝」 -醜聞と頂上会談の渦中で
終章 レーガンの遺産

あとがき
ロナルド・レーガン年譜
参考文献 

内容紹介

ラジオ、映画、テレビで活躍し、ついにはアメリカ大統領として冷戦を終焉に導いたレーガン。謎に満ちた生涯を描く本邦初の本格評伝。
 

内容(「BOOK」データベースより)

「最も偉大なアメリカ人」に選ばれるほど、人々から敬愛されるレーガン。だが、家族の絆を説いた彼は「離婚歴を持つ唯一の大統領」であり、「保守派の希望の星」ながらソ連との和解、冷戦の終焉に貢献した。アナウンサー・俳優として、大統領として、二〇世紀アメリカの大衆文化と政治をともに体現したレーガンに潜む矛盾は、現代のアメリカが抱える矛盾でもある。その複雑な生涯を描き出す、本邦初の本格評伝。